令和7年度「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」中間報告会を開催いたしました!

Digi-PoC TOYAMA 実証実験プロジェクトにおいて、採択された6事業者による中間報告会が2025年10月6日(月)に富山県民会館にて開催されました。中間報告会では、取り組みの内容と進捗状況について共有されました。今回は、中間報告会の内容についてご報告いたします!
◆目次
- Digi-PoC TOYAMAについておさらい
- 採択6事業者によるプロジェクト進捗状況の報告
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- 株式会社ハイドロ総合技術研究所(テーマ:河川モニタリングの最適化と情報発信)
- 株式会社NTTデータ(テーマ:「とやまデジタル県民コミュニティ」の創出・活性化)
- 株式会社タイミー(テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽減)
- ダイハツ工業株式会社(テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽減)
- 株式会社ネスティ(テーマ:中山間地域における農地の現地調査の効率化)
- サグリ株式会社(テーマ:持続可能な農業の確立)
- 終わりに
◆Digi-PoC TOYAMAについておさらい
Digi-PoC TOYAMAとは、富山県が令和4年度より実施している、地域課題をデジタルソリューションで解決する事例を創出し、富山県におけるビジネスモデル構築につなげることを目指す施策です。
◆採択6事業者によるプロジェクト進捗状況の報告
①株式会社ハイドロ総合技術研究所
テーマ:河川モニタリングの最適化と情報発信
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme04/
<実証実験の概要>
ハイブリッドAI 縦断水位予測システムと画像式流量観測により、安全で正確な流量計測の手法を実証するとともに、河川管理者の早期対応判断への利用可否を検討する 。
<進捗状況と今後の展開>
株式会社ハイドロ総合技術研究所の発表に先立ち、流量観測場所である栃津川流観橋を視察しました。 観測用撮影機材である、トレイルカメラ・赤外線LED・ソーラーバッテリーが設置されており、カメラで撮影した映像 をSTIV技術により解析することで、非接触での流量観測が可能となります。実際の観測場所において、従来の人力による観測作業の大変さや、既設カメラの問題点を確認し、課題や実証実験内容への理解が深まりました。
進捗状況の報告では、物理モデルとAIモデルのハイブリッド構成で 24時間先までの水位予測を可能とする縦断水位予測システムと、現場の安全性と効率化を図る画像解析による非接触型流量観測システムを構築中であることが伝えられました。11月までにリリースを行い、水位予測では職員の70%以上が継続利用を希望すること、流量観測では国交省基準の精度達成を目指します。
②株式会社NTTデータ
テーマ:「とやまデジタル県民コミュニティ」の創出・活性化
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme01/
<実証実験の概要>
地域のテーマに沿ったクエスト(お題)への参加など実際の行動を通じて、ユーザーの富山へのかかわりを可視化し、都市住民と富山が日常の中で関わり続ける“地域共創モデル”を実証する。
<進捗状況と今後の展開>
富山県の関係人口拡大と地域課題解決を目指し、デジタルコミュニティ「富山ファンラボ」をアプリ上に開設し、9月19日よりクエストを開始しました。参加インセンティブとして、富山の特産品やスポーツチームとのコラボグッズなどを提供しています。10月5日にはスポーツチームの試合会場(東京)においてイベントを行うなど、SNSやリアルイベントの開催により首都圏や全国からの参加を促進し、非来訪型から来訪型への関係人口の進化、最終的には地域課題解決に主体的に関わるコア層の育成を目指します。
③株式会社タイミー
テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽減
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme03/
<実証実験の概要>
介護分野向けの業務の切り出し支援や説明会の開催により、スポットワークの普及・定着を図り、介護現場における人手確保・負担感の解消を目指す。
<進捗状況と今後の展開>
スポットワークサービス「タイミー」を活用し、短時間・未経験者でも働ける業務を切り出してマッチングを行います。8月21日に事業者向け説明会を実施したところ、14の事業者さまに参加いただきました。実際に4事業者(14施設)で活用され、利用者とのマッチング率は約84%と高い水準です。利用者からは、現場の丁寧な受け入れや職場体験の機会が好評です。
今後は、学生や住民向けの説明会も実施し、さらなる拡大を目指します。
④ダイハツ工業株式会社
テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme03/
<実証実験の概要>
通所介護施設における送迎業務を共同運行に変えることで、必要な人員・車両・コストを削減し、効率化に寄与できるかを実証する。
<進捗状況と今後の展開>
実証では、同一法人内の複数施設間での共同送迎を対象とし、 AIを活用した送迎支援システムを構築しました。シミュレーション結果では、12台の送迎車両を11台に削減し、1日あたり約3.1時間の業務時間短縮が確認されました。今後は、実際に共同運行を行い、利用者や職員の情報連携など実務上での効果・課題を確認のうえ、県内外への普及を目指します。

⑤株式会社ネスティ
テーマ:中山間地域における農地の現地調査の効率化
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme06/
<実証実験の概要>
複数の衛星データ解析と富山県データ連携基盤を活用して、現地確認作業の効率化に寄与できるのかを実証する。
<進捗状況と今後の展開>
SAR衛星と光学衛星を用いた新手法の開発を行い、富山市の中山間地域直接支払制度の協定地を対象として、実証を行っています。現状は、地図データの整備不足や解析不可の圃場が多く 、削減率は目標未達ですが、正解率は96.2%と、農水省マニュアルによる手法よりも高い精度であることが確認されました。また、実際の現地確認作業におけるタブレットアプリの活用では現場担当者より、大きな紙地図を広げながら確認する必要がなくなり、快適性が向上したとの声がありました。富山県データ連携基盤の活用では、ランニングコストの削減にも寄与する見込みです。今後は、高解像度衛星データの活用やデータ整備で削減率の改善を目指します。
⑤サグリ株式会社
テーマ:持続可能な農業の確立
課題の詳細はこちら → https://digi-poc-toyama.jp/theme07/
<実証実験の概要>
農地の状況をデジタル地図上で可視化するだけでなく、耕作放棄地や担い手不足の農地、農地の集約情報を抽出し、企業が参入しやすくなるようなデータの見える化を実証する。
<進捗状況と今後の展開>
衛星データや各種オープンデータを統合した地図サービス「ニナタバ」を用いて、現在富山県下3自治体をフィールドとして、農地の可視化を実施中です。 今後、可視化した情報を元に重点地区を設定し、農業法人等10社以上へヒアリングを行い、県内初のマッチング事例創出に向けて、体制整備を行っていきます。
◆終わりに

6事業者による進捗状況の報告が行われたことにより、事業者同士でも情報の共有が行われ、非常に有意義なものとなりました。
ここから実証実験の開始、またはすでに開始している事業者はその取り組みをより本格化させ、富山県民のウェルビーイング向上を目指したプロジェクトが展開されていきます。次回以降、6事業者による実証実験についてインタビューを実施し、その内容・取り組みを掘り下げていくので、乞うご期待‼