【2022年度】【株式会社ネクトプラス】 県内企業のDX推進の鍵は「富山県出身のIT副業人材」 デジタルプラットフォームを活用し、最適な人材マッチングを実現
IT課題を抱えている県内企業と、首都圏に住んで活躍している富山県出身のIT副業人材を繋ぎ、事業のIT化を支援するコンサルティングサービスを展開している、株式会社ネクトプラス。「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)実証実験プロジェクト」では、富山県内の企業が、同県出身の副業・兼業デジタル人材を活用することで、デジタル化・DX推進に取り組む実証実験を実施。企業とデジタル人材をオンラインなどで繋ぎ、企業の社外人材を活用するハードルを下げ、マッチング精度を高めるというものです。今回は、実証実験プロジェクトへの応募の経緯や実証実験の概要、明確になってきた課題と解決のための取り組み、今後の展望などについて、株式会社ネクトプラス代表、地村未知弘さんにお話を伺いました。
富山県内の企業と首都圏で活躍しているIT副業人材を繋ぐ架け橋に
チャレンジ精神から実証実験プロジェクトに応募
我々は、親会社(株式会社アークネクト)で培った知見を武器に、富山県に特化したIT人材マッチングサービスを提供するために立ち上げた会社です。株式会社アークネクトでは、首都圏に住んで、首都圏で活躍している優秀なIT人材(地方出身者)を活用して、地方企業の人材不足を解消し、業務のIT化を支援するITコンサルティングサービス等を展開しています。
今回の「Digi-PoC TOYAMA 実証実験プロジェクト」を知ったのは、情報感度の高い富山県出身の副業メンバーから、参加企業を募集中であることを聞いたことがきっかけです。詳細を見て、我々の事業とマッチするテーマであり、会社の認知度アップを図れる格好の機会だと感じました。起業当初から「チャレンジ」をモットーにしてきたこともあって、社員一致で「提案してみよう」と、前向きな気持ちで応募させていただきました。
ゴールはIT副業人材によるコンサルティングで県内企業のDX推進に貢献すること
手厚いフォロー体制でクオリティーをコントロール
今回の実証実験では、富山県出身・首都圏で活躍しているIT副業人材が提供するコンサルティングサービスにより、県内企業が抱えるIT課題の解決やDX推進に貢献することをゴールにしています。
企業のデジタル化・DX推進高度デジタル人材マッチングの概要
- 県内企業に対して、社外人材活用の方法やステップをデジタルプラットフォームやセミナーなどを通して情報提供
- 県内企業が副業・兼業人材の採用基盤を整えた段階で、交流会を実施し、富山県出身のデジタル人材と具体的なマッチングを開始
- デジタルプラットフォームを活用してマッチングに至る事例を収集・分析し、マッチングの精度を向上
デジタルプラットフォームの機能でできること
- Slackの活用で、県内企業・デジタル人材・ネクトプラスの3者が円滑なコミュニケーションを実現
- GoogleWorkSpaceの活用で、県内企業・デジタル人材・ネクトプラスの3者が資料共有
- 県内企業の社外人材活用ニーズ(求人情報)とデジタル人材の情報の一元管理
- マッチングに至るプロセスのデータベース化
実証実験の本格始動にあたっては、まず県内企業の社長様に我々の取り組みをご紹介し、興味を持っていただくための営業・PR活動を実施しました。IT副業人材については、おもに外部人材紹介サイト「Wantedly(ウォンテッドリー)」を活用して地道にスカウティング。約2000人以上のプロフィールを確認後、最終的に我々が用意した基準を満たす20名ほどにオファーをお送りしました。
県内企業とIT副業人材のマッチングに際しては、顔合わせも兼ねたリアルな意見交換の場(商談の場)を設定。企業が抱えているIT課題は多様にあり、IT人材が有するスキルも多岐にわたるため、我々が事前にマッチ度をジャッジして、ミスマッチが起こりにくいように取り計らいました。
マッチング成立後、IT副業人材が実支援する段階では、高いパフォーマンスを出せるように、これまで蓄積してきたノウハウを提供するなどして手厚くフォロー。具体的には、デジタルプラットフォーム上でIT副業人材と県内企業のコミュニケーションを円滑にさせるとともに、過去のコンサル資料や事例をまとめたナレッジマネジメントサイトを提供しています。業種やテーマごとにメソッドをまとめたコンサルティング用テンプレートを用意して、いつでもアクセスすることができ、適宜ダウンロードやカスタマイズも可能になっています。
以上の取り組みを行い、県内企業と富山県出身のデジタル人材とのマッチング事例の分析やデジタルプラットフォーム利用に関するアンケートから、以下の項目等についての検証を実施いたしました。
検証項目
- デジタルプラットフォームの活用によるマッチングの効率化:ネクトプラスがIT副業人材に伴走・フォローすることで、「コンサルが初めて」という方でも困ることなくスムーズにスタートできているかどうか
- デジタルプラットフォームの運用性:提供するサービスのクオリティーをしっかりコントロールできているかどうか
IT副業人材のオンラインスカウトに課題あり
デジタルとリアルを融合した体制へ
実証実験の着手後に明確になった課題としては、IT副業人材のオンラインスカウトの成立件数が思うように伸びていないことが挙げられます。熟慮の末、当面の間は数を追わず、「富山県内のトップクラスの企業」と「富山県出身の優秀なIT副業人材」のマッチングに注力して、オンラインスカウトだけではなく、オンライン、オフライン交流会を実施しました。
そこでこだわったのは、IT副業人材に求めるクオリティーです。より厳選した高いスキルを持つ魅力的な皆さまに声をかけさせていただき、優秀な方々に登録していただくことができました。引き続き、報酬面を含め副業人材として働くメリットを打ち出しつつ、地道にスカウティングを続けていきたいと思います。
※ナレッジ構築サイト
スカウティングの精度を強化
一過性ではない、持続可能な事業展開をめざす
今後については、IT人材に対してどのような見せ方でアプローチすればより登録してもらえるようになるのか検討を重ねて、スカウトの精度を上げたいと考えています。
またサービスを提供する価値に対して、お客様から正しく評価をいただける関係を築くことが、企業活動の好循環を生む秘訣であると認識しております。ビジネスでは当たり前のことですが、事業を一過性のもので終わらせないためには、バリューを出すことにこだわり、相応の対価をいただいて、確実に利益がでるような仕組みを構築することが重要です。将来的に日本全国で展開することも視野に入れて、富山県での取り組みをロールモデルとして活用できるように尽力していきます。
県内企業とIT副業人材を繋ぐこの事業の根幹には、富山県出身者が副業を通じて地元に関わり、実家に帰る機会をつくってほしいという想いもあります。IT副業人材の方に、我々の仕組みをどんどん利用してもらえたら幸いです。