実証実験レポート

【株式会社キッチハイク】好きなときに、好きなところに住める人生を。今回の実証実験は、そのファーストステップ

プロフィール

株式会社キッチハイク

事業開発/執行役員 川上真生子

事業開発/地域・アライアンス 鷲見健吾

https://kitchhike.jp/

人の営みの根幹である食と暮らしを起点に、地域と生活者の人生がつながる新たな仕組みを生み出し続けている、株式会社キッチハイク。今回、富山県の関係人口を増やすため、「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)実証実験プロジェクト」に参加。その成果について、事業統括の川上真生子さんと、プロジェクトをリードした鷲見健吾さんにお話を伺いました。

「幸せ人口1000万」を掲げる富山県と、 目指す世界が同じだった

――川上さん: 我々は、地域の関係人口を可視化し、繋がりを強化していくサービスを展開しています。今回の「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)実証実験プロジェクト」は、CTOの人脈から情報をいただくことに。詳しく調べてみると、富山県は食べ物が美味しく、都心からのアクセスもよいなど、関係人口を増やせるポテンシャルが高いと感じました。

――鷲見さん: 自治体に関係人口関連事業があることも魅力でした。「しあわせる」というテーマを掲げ、「関係人口=幸せ人口」と称し、ウェルビーイング先進地域を目指していることも大きな特徴。それは我々の目指す世界とも近かったのです。

――川上さん: しかも、富山県は「幸せ人口1000万」を成長戦略のビジョンとして掲げていました。これは、富山県の人口の約10倍にあたる数字。自治体でこのスケールのビジョンを掲げているところはなかなかありません。こんなチャレンジングな目標を掲げている富山県の自治体の皆さまと関わってみたいと感じ、応募しました。

――鷲見さん: 実証実験としては、富山県の関係人口の新規創出と、継続的な繋がりの深化を目指しました。具体的には、関係人口向けのアグリゲーションプラットフォーム(APF)の作成と、我々の事業「保育園留学®︎」の富山県での立ち上げです。

「関係人口新規創出」と「つながり深化」 2つのチーム体制で実施

――川上さん: 実証実験では、「保育園留学®︎」を立ち上げる「関係人口新規創出」チームと、APFなどを立ち上げる「つながり深化」チームで分かれ、2022年11月から着手しました。

――鷲見さん: 「保育園留学®︎」は、受け入れ先として富山市の上滝保育園に依頼。実は、上滝保育園は、我々が実証実験に参加する前から、ニュースで「保育園留学(®︎」に興味を持っていただき、お問い合わせをいただいていました。とてもご縁を感じましたね。さっそく11月に現地視察を行うことに。富山県では2週間の「保育園留学®︎」を企画していましたが、その間、ご家族も地域での暮らしを体験することになるので、宿や車などの手配が必要です。そこで協力いただける地元企業を探しました。また、集客のためのLP作成に向け、撮影やデザイン制作も並行して進めていったのです。

富山県の「保育園留学®️」: https://hoikuen-ryugaku.com/toyama

――川上さん: 「保育園留学®︎」は、関係人口を増やす有効な施策で、参加1家族(2週間滞在)につき、20~30万円の経済効果を地域に生むという実績があります。しかし、富山県の掲げる「幸せ人口1000万」を目指すには、もっと伸びしろが必要でした。それを担うのがAPFです。官民の地域系サービス事業の情報をAPFに集約し、関係人口のリードの獲得を目指すことに。APFは我々も初めての試みだったため、12月まではコンセプトやサービス内容について、手探りで検討を進めました。そして、v1として、「地域で子育てすることに興味のある家族」にターゲットを絞って要件定義策定を進め、まずは情報サイト「富山こどもみらい部屋」を作成したのです。

「富山こどもみらい部屋」: https://kodomomirai-room.com/

一時滞在に応える宿泊施設の不足、
データの一元管理のハードルが課題に

――鷲見さん: 今回のプロジェクトで難航したのは、「保育園留学®︎」においては、参加家族の宿を探すこと。地方はどうしても、市街地を離れると宿泊施設の数が少なくなります。また、“暮らし”を体験するというコンセプトがあるため、普段の生活と変わらないようにキッチンの設備なども必須と考えていました。そのため、ますます数が限られてしまったのです。今回は、上滝保育園の園長にも協力いただき、職員の皆さんのつながりで、ウィークリーマンションを紹介いただくことが可能に。地元の皆さんの協力あっての事業だと、改めて実感しました。参加家族の募集に関しては、大変ありがたいことに「保育園留学®︎」がもともと他地域でも順番待ちになるほどの人気のコンテンツだったため、募集開始してすぐに定員に達することができたのです。

――川上さん: APFのほうでは、点在している関係人口データの扱いづらさを痛感しました。各部署、各課でそれぞれデータを持っていて、データのフォーマットや規約が異なるのです。今回の実証実験においては、既存のデータを一元管理して活用することが難しかったため、新規に取得するデータを対象にしました。

誰もが複数の生活拠点を持てる
固定概念に縛られない、「やわらかな定住」が当たり前になるように

――川上さん: データの一元管理に課題はありますが、統合し、分析することで関係人口を可視化し、効果的な施策を打ち出す材料に。今後も検証を続け、行政・民間同士がデータを共同利用できるAPFを目指していきたいと考えています。また、それによって地域に経済効果を生む関係人口の創出を目標に、施策を打ち出していければと思っています。

――鷲見さん: 富山県の掲げている「幸せ人口」や「ウェルビーイングな世界」は、我々の実現したいコンセプト「人生を謳歌する」に繋がっています。好きなときに、好きな土地に住めることも、人生を謳歌することの一つ。そのような意味で、今回の成果をもとに、「保育園留学®︎」の拠点を富山県内にさらに増やせたらと考えています。最終的には、富山県と包括連携協定を結べるくらいの存在になりたいですね!

――川上さん: どれだけ子育てに魅力的な地域だったとしても、定住となるとハードルは低くないでしょう。そのため我々は、ライフステージとライフスタイルに合わせ、中長期で地域に住まう、これからの暮らしの選択肢として「やわらかな定住」を提唱します。これによって、より時代にあった家族の過ごし方や、地域との多様な関わりを創出し、経済や産業の活性化にも繋げられたらと考えます。そして、まさに今回がそのファーストステップです。将来は、「保育園留学®︎」が当たり前の世界となるような文化を創っていきたいです。