令和7年度「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」 実証実験プロジェクト成果報告会開催レポート
富山県民のウェルビーイング向上のため、地域課題をデジタル技術で解決! 令和7年度「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」 実証実験プロジェクト成果報告会開催レポート
富山県は2026年1月21日(水)、県民のウェルビーイング向上の実現を図るため、先進的なデジタル技術を活用して地域課題を解決する「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」実証実験プロジェクトの成果報告会を、富山県防災危機管理センター(富山市)にて開催しました。
実証実験に採択された6つのプロジェクトの成果について、それぞれの事業者による報告、富山県デジタルソリューション推進委員による質疑応答がありました。この成果発表会はリアルタイムでオンライン配信も行われ、全国からも多くの人が視聴しました。

<開会挨拶>
富山県地方創生局長・デジタルソリューション推進委員会委員長 滑川 哲宏

このDigi-PoC TOYAMA実証事業を始めて4年目になりますが、今年もたくさんの応募をいただき6件を採択、この後の成果報告をとても楽しみにしております。昨年末に富山県総合計画を策定し、その中でも重要な課題としてデジタル・DXによる課題解決の推進を示しておりますが、これまでの4年間で様々な実証実験に取り組んで課題解決を実現していることを、心強く感じております。今年度の6件につきましても、実証を終えた後、来年度以降地域の大事な課題を解決するソリューションになっていくことを期待いたします。
<Digi-PoC TOYAMAの概要説明>
富山県地方創生局デジタル化推進室デジタル戦略課 櫻井主事

富山県では、県民のウェルビーイング向上を目指す「富山県成長戦略」を策定しており、人づくりを基盤とした新しい社会経済システムの構築に取り組んでいます。次世代の価値を生む人材が富山で育ち、また、富山県に引き寄せられて、県外から人材が集積する。成長戦略のビジョン「幸せ人口1,000万」「ウェルビーイング先進地域 富山」の実現を図るものです。
この事業を具現化したものが、デジタル技術を活用して地域課題を解決する、Digi-PoC TOYAMA実証実験プロジェクトと言えます。Digi-PoC TOYAMAを通じて、デジタルソリューションで地域課題を解決する事例を創出し、ビジネスモデルを構築することにより、産業・地域社会のDX推進、企業・人材の集積、また投資を呼び込むことを目指しています。
今年度の取り組みについて簡単にご紹介いたします。5月頃から実証実験プロジェクトの募集を開始し、富山県民会館と大阪で、応募促進イベントを開催しました。 全国から幅広い実証実験プロジェクトの提案を48件応募いただき、7月に6件を採択いたしました。この後、この6社から実証実験の成果についてご報告いただきます。本日の実証実験成果報告会の資料はホームページ上で公開しております。是非こちらもご覧になりながらお聞きください。どうぞよろしくお願い致します。
<実証実験発表①>
株式会社タイミー
テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽減
発表者:石黒 正

(1)実証実験の概要
- 介護事業所における慢性的な人手不足という課題に対し、スポットワークの活用による解決を図った。
- 介護事業者向けや、働き手(ワーカー)向けの説明会を開催し、マッチングを促進。
- アンケート取得により、導入効果を検証。
(2)実証実験の成果
- 9月~12月の約4ヵ月で1,007マッチング(稼働)を創出。
- 稼働したワーカーのうち 40代以下が約7割、無資格者が約6割など、介護に馴染みが薄いと思われがちな層の稼働につながっている。
- スポットワークで働くことにより、介護業界で働くことへのイメージが向上した割合が77%にのぼった。
- 事業所においても、人手の集まりやすさ、人材の仕事ぶりともに、約78%が満足またはやや満足と回答。リピーターを獲得できた事業所や、長期採用に至った事業所もあった。
(3)今後の展開
- 本実証事業結果をもとに、「食わず嫌い」層であるスポットワーク未導入事業者に対し、スポットワークの上手な使い方を周知していく。
- 介護業界の仕事に興味のある無資格者に対して資格取得支援事業を行うことで資格者の確保につなげていく。
<実証実験発表②>
ダイハツ工業株式会社
テーマ:介護サービスの担い手確保と負担軽減
発表者:小林 徹

(1)実証実験の概要:
- 「らくぴた送迎」という運行管理システムを活用し、送迎業務のDX化と共同化により生産性向上を図り、介護サービスの負担軽減・担い手確保を目指す。
- 複数の通所施設を運営する介護法人の送迎業務を一元化し、車両・人員負担の削減を検証。
- シミュレーションと実運行の2段階で効果を検証し、実用性と持続可能性を確認。
(2)実証実験の成果:
- シミュレーション上では、車両▲2台/日、業務時間▲3.1時間/日を削減でき、共同化による効率化効果が認められた。
- 実際の運行では、大きな事故・トラブル無く共同運行は実施できた。
- 現場職員の満足度においては、総合的に効果を実感できず、課題が残った。
(3)今後の展開:
- 実証事業後もシステム利用のトライアルを継続実施し、①個別施設でのDX化 ②業務負荷の偏りのない運行体制 の実現を進める。
- 事例紹介等により、富山県内で同様の課題を抱える介護施設への認知向上を図る。
<実証実験発表③>
株式会社 NTTデータ
テーマ:「とやまデジタル県民コミュニティ」の創出・活性化」
発表者:後藤 綾香・中野 友惠

(1)実証実験の概要:
- 社会貢献アプリ「fowald」を活用し、デジタル県民コミュニティ「とやまファンラボ」を設立。
- 富山の首都圏における関係人口創出のリアル拠点「日本橋とやま館」において、限界のあった関係の拡がり・継続を、リアルとデジタルの両輪で、継続的につながる仕組みを整備する目的。
- 富山県独自のテーマに沿ったクエスト(行動促進キャンペーン)を参加者へ発信。クエストへの参加を通じて、非来訪型(バーチャル型)層をターゲットとして新しい富山との関わり方を促した。
(2)実証実験の成果:
- コミュニティ参加人数は、9月末から12月にかけて継続的に増加し、190人。最大の流入経路はfowald既存登録ユーザー。
- クエストへの参加者数は、参加ハードルが低く、富山に限定しないテーマのクエスト(ガラス)とバスケットボールチームの現地施策クエストが、KPI達成した。全体として、40~50代女性のクエスト参加が多かった。
- とやまファンラボ参加により、来訪意向・富山県への関心はいずれも約8〜9割で向上が見られ、クエスト体験による関心醸成効果が確認された。特に食と観光が関心が集まりやすいテーマだった。
(3)今後の展開:
- 新規流入を増やすため、fowaldの富山に限定しないオープンなアプリケーションの強みを生かして、既存コミュニティとの連携施策や、SNSによる情報発信を行う。
- 自走化に向けて、今回コア層へ育成したユーザーに対する地域課題解決を考えるワークショップの開催、協賛企業の募集等を行っていく。
<実証実験発表④>
株式会社 ネスティ
テーマ:中山間地域における農地の現地調査の効率化
発表者:株式会社ネスティ 越川 尚樹、富山県立大学 河崎 隆文


(1)実証実験の概要:
- 市町村職員の負担になっている中山間地域等直接支払制度における農地の現地確認作業に対し、衛星画像の活用、現地確認支援アプリの開発、富山データ連携基盤の活用によって、省力化・効率化に取り組んだ。
- SAR衛星と光学衛星を用いた新たな解析手法を開発し、現地確認箇所削減。
- 現地確認支援アプリのプロトタイプ版を開発し、現地確認作業を効率化。
- 富山データ連携基盤を活用し、野帳管理のデジタル化、導入コスト削減。
(2)実証実験の成果:
- 衛星画像と対象農地の場所・位置・形状を紐づけるマッチングでは、50.6%の農地(圃場)のマッチングにとどまった(9,160筆→4,635筆)。
- マッチングした圃場を対象に衛星データ解析を行い、90.8%の現地確認圃場を削減(4,635筆→424筆)。R7年度の現地確認結果と比較し、解析精度の正解率は93.3%。
- 残る現地確認必要な圃場についても、実証地である富山市において現地確認アプリ(プロトタイプ版)の説明会を開催、操作していただき、業務負担が軽減されるとのユーザー評価を得た。
- 富山データ連携基盤活用のための基本設計書を作成、データ連携を確認し、サンプルイメージの作成も行った。導入コストのシミュレーションでは、富山県内3~4自治体以上の導入により、データ連携基盤を利用した方が導入コストを削減できることがわかった。
(3)今後の展開:
- マッチング率の向上に向け、地図データ整備や、他部署保有データの共有を推進。
- 新技術導入に対する不安解消のため、R8年度での実証継続、農水省等へ基準・ガイドライン策定の働きかけ、会計検査時対応を進めていく。
- 令和9年度には、富山県内の複数自治体で正式導入を目指す。
<実証実験発表⑤>
サグリ株式会社
テーマ:持続可能な農業の確立
発表者:西口 裕貴


(1)実証実験の概要:
- 農地マッチングアプリ「ニナタバ」を用いて、農地状況をデジタル地図へ可視化し、企業参入を目指す重点地区を選定。
- 地域農業の担い手不足という課題に対し、農地の集約、地域内外からの農業法人等の参入を促す目的。
- 農業法人等へ重点地区を示し、参入意向等のヒアリングを実施。
(2)実証実験の成果:
- 魚津市で13箇所、黒部市で7箇所の重点地区を設定。
- 農業法人等へメール約1,000件、架電約700件アプローチ。サグリ側で15法人と打ち合わせを実施。自治体への情報提供や打ち合わせにつながったのは3法人。
- 法人へのヒアリング結果や示唆を重点地区設定自治体へ還元し、8割の満足度。
(3)今後の展開:
- 農業法人等にとって、各自治体がそもそも参入を歓迎しているかわからないため、自治体ができる支援も含めて情報発信を行っていくことが必要。
- デジタル地図を行政・農家ともになじみのあるものにするため、引き続き市町へ農地の人に関する情報更新・充実化を促し、富山県ではデジタル地図の更なる活用を検討。
- 来年度富山県内で1事例創出、全国展開を目指す。
<実証実験発表⑥>
株式会社ハイドロ総合技術研究所
テーマ:河川モニタリングの最適化と情報発信
発表者:渡辺 健


(1)実証実験の概要:
①河川モニタリングの高度化(ハイブリッド水位予測)
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- 対象河川へハイブリッドAI水位予測システムを構築・導入し、「UI・機能、予測リードタイム・精度」を評価。
- 監視カメラのみで全区画の状況把握は困難であり、県民に十分な情報発信ができていない課題に対し、システムの有効性と課題点を分析。
②流量観測のデジタル化(画像式流量観測)
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- 映像式流量観測(Hydro-STIV)において、対象河川・地点の既設カメラが活用可能か、現地計測結果等との比較を評価。
- 洪水時の安全で正確な流量計測の実現が目的。
(2)実証実験の成果:
①河川モニタリングの高度化(ハイブリッド水位予測)
-
- 上庄川、白岩川の2河川における4地点を対象とし、システム構築。
- 富山県河川課、土木事務所、既設システム関係会社等にてシステム利用。システムが正式導入された場合利用する(1週間に数回あるいはまとまった降雨が予測されるとき)との回答は81.8%。
- システム仕様(表示方法等)は賛否あり改善の余地がある。
②流量観測のデジタル化(画像式流量観測)
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- 白岩川水系 栃津川 流観橋地点において観測。既設カメラは動画スペック不足等により利用できず、新たにトレイルカメラ等を設置。
- 高水時の観測ができなかったため、小規模出水を多数ケース観測。画像式流量観測の値と、同時期の流速計による計測値を比較し、同等の値が得られた(±10%以内適合率が85%)。
(3)今後の展開:
①河川モニタリングの高度化(ハイブリッド水位予測)
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- 実証期間中は小規模出水しかなかったため、次年度出水期における追加検証を検討。
- 防災タイムラインなどの業務利用を想定した検討。
②流量観測のデジタル化(画像式流量観測)
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- 実際に測量を行う業者への周知が必要なため、メリットや業務フローの整理、講習会等の開催を検討。
<閉会挨拶>
富山県知事 新田 八朗

今年度の実証実験プロジェクトはいずれも、富山県の様々な地域課題の解決に資するものであり、富山県のウェルビーイング向上へ大いに貢献するプロジェクトだったと思います。
今回報告いただいた皆さんには、実証実験の成果を生かして、ここ富山にて社会実装に向けて取り組むとともに、県内でさらにネットワークを広げつつ、それぞれのビジネスの発展へと繋げていただければと思います。
富山県としては、今日発表いただいた介護、農業、災害への備え、関係人口の創出等、多岐にわたる地域課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思います。人口減少社会を迎え、様々な課題が出てきており、これを解決していく鍵はやはりデジタルを徹底的に使い倒すことだと思います。そういった意味で、今回の実証実験が地域の活性化や社会課題の解決につながることにより、ワクワクすることがどんどん生まれ、チャンスがあり夢を叶えられるこの富山県で、多くの皆さまが様々なことに挑戦していただくことを期待しております。改めまして、ご努力に感謝申し上げます。
