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令和6年度「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」  実証実験プロジェクト成果報告会開催レポート 

富山県民のウェルビーイング向上のため、地域課題をデジタル技術で解決! 

令和6年度「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」 

実証実験プロジェクト成果報告会開催レポート 

富山県は2025327日(木)、県民のウェルビーイング向上の実現を図るため、先進的なデジタル技術を活用して地域課題を解決する「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」実証実験プロジェクトの成果報告会を、富山市にて開催しました。 

実証実験に採択された4つのプロジェクトの成果について、それぞれの事業者による報告がありました。この成果発表会はリアルタイムでオンライン配信も行われ、全国から多くの人が視聴しました。 

<開会挨拶>
富山県知事政策局長・デジタルソリューション推進委員会委員長  川津局長 Digi-PoC TOYAMAの報告会も今年で3回目になるわけでありますが、採択事業者様におかれましては、富山県における喫緊の課題に正面から立ち向かっていただきまして、大変素晴らしい成果が出たと伺っております。  

県民のウェルビーイング向上をしていくためには、デジタルの力、DXの力が不可欠であります。ぜひ今後も、富山県としては民間の事業者といっしょに推進していきたいと思っておりますので、本日はよろしくお願い致します。 

<プログラムの概要説明>
富山県知事政策局デジタル戦略課 木下副主幹 富山県では、県民のウェルビーイング向上を目指す「富山県成長戦略」を策定しており、人づくりを基盤とした新しい社会経済システムの構築に取り組んでいます。次世代の価値を生む人材が富山で育ち、また、富山県に引き寄せられて、県外から人材が集積する。成長戦略のビジョン「幸せ人口1,000万」「ウェルビーイング先進地域 富山」の実現を図るものです。 

この事業を具現化したものが、デジタル技術を活用して地域課題を解決する、Digi-PoC TOYAMA実証実験プロジェクトと言えます。Digi-PoC TOYAMAを通じて、デジタルソリューションで地域課題を解決する事例を創出し、ビジネスモデルを構築することにより、産業・地域社会のDX推進、企業・人材の集積、また投資を呼び込むことを目指しています。本日は、この実証実験の取り組み成果をご報告いたします。  

今年度、どういった形で進めてきたかと申しますと、517日から約1か月間、富山県の地域課題を解決する実証実験プロジェクトを募集しました。そして、523日に富山県民会館で、63日には東京の赤坂で、応募促進イベントを開催しました。 

そして、会場参加・オンライン参加を含めて230名の方にご参加いただいております。その方々も含めて、全国から実証実験プロジェクトの提案を89件も頂きました。採択にあたっては、外部有識者で構成する「富山県デジタルソリューション推進委員会」の審査を経て、4件を採択いたしました。 

各プロジェクトとも、7月から今年の2月ないし3月にかけて、約8か月間実証実験に取り組みました。この後、この四社から実証実験の成果についてご報告いただきます。本日の実証実験成果報告会の資料はホームページ上で公開しております。是非こちらもご覧になりながらお聞きください。どうぞよろしくお願い致します。 

<実証実験発表
Web3 Times合同会社 
テーマ「寿司といえば、富山」ブランディング
発表者:末次 祥太郎

(1)実証実験の概要
・「寿司といえば富山DAO」というオンラインコミュニティを設立。
・寿司といえば富山のブランド浸透と富山県の関係人口増加を同時に解決。
・参加者が自由に企画を立ち上げ、活動や貢献に応じて「お寿司マイル」を獲得できる仕組み。
・ブロックチェーン技術は使わず、参加ハードルを下げ短期間でのコミュニティ活性化を目指した。 

(2)実証実験の成果
・参加者207人(目標200人)を達成、県外参加者が64%
・アクティブユーザー率20%(一般DAO5%程度)。
SNS発信による富山の魅力拡散(X投稿のインプレッション数200万回、フォロワー2,100人)。
・非参加者へのアンケートでは「寿司で思い浮かぶ都道府県」で富山県が55%2020年調査では8.9%)。
・全国DAOコンテストでゴールド賞受賞。 (3)今後の展開
・自由度の高さによる参加者の混乱という課題に対し、企画の大枠は県と運営企業で固め、詳細設計は参加者の特技を生かす方向へ。
・コミュニティ規模を拡大し、富山の関係人口が集まる大きなプラットフォームを目指す。
・スポンサー獲得に向けた営業活動の継続。 

<実証実験発表
株式会社Asian Bridge 
テーマ:「関係人口の創出・繋がりの深化」
発表者:松田悠  

(1)実証実験の概要:
・「Toyama Connect」という地域コミュニケーション特化型SNSプラットフォームを開発。
・関係人口のデータ蓄積・可視化、データ分析による関係人口創出を目的。
・イベント申込、グループチャット、情報収集などの機能を実装。
・県庁内での利用も考慮し、担当課ごとの個人情報閲覧管理を実装。 

(2)実証実験の成果:
・アクセス数3PV、アクティブユーザー2,500人を達成。
・会員登録数は500人近くに到達。
・県外在住者が1/3以上。ショッピング・グルメ、イベント、ビジネス、観光に興味を持つ傾向。
・民間企業(株式会社ママスキー)や成長戦略室との連携イベントを実施し、コミュニティ活性化に成功。(3)今後の展開: 
・初動段階での投稿数伸び悩みやユーザー継続利用率向上が課題。
・民間企業連携を強化し、学校の同窓会やスポーツチームのプラットフォームとしての活用も検討。
・リアルとオンラインの調和を図りながら、アクセス数10PVを目指す。 

<実証実験発表
株式会社 Matchbox Technologies  
テーマ: 農業の担い手確保
発表者:山田 貢乃介・清水 咲希 

(1)実証実験の概要: 
・「富山あぐりマッチボックス」という1日数時間単位から就業可能な農業人材マッチングサービスを開発。
・農業の担い手不足解消と将来の人材確保が目的。
・事業者は求人掲載を行い、地域内外の求職者が応募・就業する直接雇用型サービス。
・単発のお仕事掲載と長期雇用を前提とした体験就業の2種類の求人掲載が可能。 

(2)実証実験の成果: 
・事業者116社が参画、実際の利用者は18事業者、334件の採用実績。
・収穫に興味のある求職者350名が登録(うち実際に収穫経験した人は62名)。
・登録者の7割が女性、20代から50代の女性が多い。
・長期雇用に結びついた事例も発生(60代男性、定年退職後のアルバイト)。  (3)今後の展開: 
・冬の閑散期で収穫機会が少なかったため、春以降の繁忙期での利用拡大を見込む
・年2回の大規模事業者説明会や富山グルメフードフェスへの参画などで認知拡大
・将来的には農泊や農服といった連携領域の拡大、全業種参画可能な就業へつなげる  

<実証実験発表
射水ケーブルネットワーク株式会社 
テーマ:災害時における避難者の情報管理、災害備蓄品の管理
発表者:渡辺正樹 (1)実証実験の概要: 

・避難所でのチェックインシステム、備蓄品管理システム、備蓄品最適配分システムの開発
・令和611日の地震発生時の課題(避難者数・属性の把握困難、備蓄品管理の非効率、救援物資の適切な配分困難)を解決
・スマートフォン1台で操作可能なシステムを構築
・マイナンバーカード、免許証、QRコードによる避難者チェックイン機能を実装 

(2)実証実験の成果: 
・射水市役所と南砺市役所で実証実験を実施(計70名参加)
・チェックイン時間が従来の2分半から平均50秒に短縮(60%の時短)
・集計時間は従来の1時間15分から3秒に短縮(99%の時短)
・備蓄品配分案作成は従来の20時間から33秒に短縮 (3)今後の展開: 
・自分のスマホを他人に触られることへの抵抗感や暗証番号忘れなどの課題に対応
・避難所ごとにデバイスを用意し、フリーWi-Fiで運用するなど改善策を検討
・令和7年度は射水市の自治会と連携し、6月に実際の避難訓練での活用を予定
・生成AIの活用による備蓄品配分の高度化を検討 

<閉会挨拶>
富山県知事 新田八朗知事各実証実験プロジェクトは富山県のウェルビーイング向上への熱い思いに満ちておりました。今回報告いただいた皆さんには、実証実験の成果を生かして、ここ富山にて社会実装に向けて取り組むとともに、県内でさらにネットワークを広げつつ、それぞれのビジネスの拡大発展へと繋げていただければと思います。富山県としても、新年度は各プロジェクトについて、社会実装を支援してまいります。 

人口減少社会を迎えており、生じてきている多くの課題解決にはデジタルの最大限の活用が鍵だと考えます。今回の実証実験が課題を解決するソリューションとして活用され、地域の活性化や成長に繋がっていくと思うと、大変にワクワクすることです。チャンスがあり、夢を叶えることができる富山県、ワクワクすることが沢山ある富山県を目指しております。どうか引き続き、皆さんと一緒に、富山県の未来を作っていきたいと思います。ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。