イベントレポート

富山県のDX化推進を後押し。ビジネス進出や拠点づくりのヒントを得たい企業のためのイベントが開催。

渋谷スクランブル交差点を眼下に望む「渋谷 QWS スクランブルホール」にて、2022年9月2日(金)、イベント「Digi-PoC TOYAMA -ウェルビーイングな世界を切り拓く」を開催しました。

富山県では今年、県が抱えている課題をIoT、AI、5Gなどのデジタル技術で解決する実証実験プロジェクト「Digi-PoC TOYAMA」を始動しました。今回のイベントは東京・渋谷の会場に加え、オンライン配信も実施。広く、富山県のDX化推進を後押ししてくれる企業に向け、ヒントとなる情報を届けるためのものです。

この記事では、イベントの内容を詳しくレポートします。

【県の課題をデジタルの力で解決し、持続可能な地域づくりを推進】

オープンニングは、富山県の新田八朗知事からのメッセージムービーでスタートしました。

「本年2月に策定した富山県成長戦略の柱は、経済的な豊かさに加え、精神的、身体的にも満たされた状態である真の幸せ『ウェルビーイングの向上』を掲げています。そのためには、富山県が抱える課題をデジタルの力で解決し、持続可能な地域づくりを推進していくことが必要です」

今回の実証実験プロジェクトの背景、そして目的を力強い言葉で語ります。

続けて、富山県知事政策局デジタル戦略課の初田課長から実証実験プロジェクトの説明がありました。

募集しているテーマ

  • 「幸せ人口1000万」の新規創出
  • 「幸せ人口」と富山県との繋がりの深化
  • ウェルビーイング向上のための子育て世代の余暇時間の創出
  • 企業・自治体の働き方改革推進
  • 企業のデジタル化・DX推進
  • 中山間地域における生活の利便性向上
  • 県民向けアプリの連携

※Digi-PoC TOYAMA実証実験プロジェクトについて

採用された場合は、富山県と委託契約を結び、実証実験にかかる費用500万円(他県での事例がない場合は1000万円)を県が交付します。 募集期間は9月20日まで。実証実験のプロジェクトを3月上旬に終え、その後、成果報告会を開催する流れです。

【トークディスカッション 富山県のウェルビーイング向上のために何が必要か】

「住民の困りごとにデジタルが寄り添う」という意識

続いて、富山県とゆかりのある2名のゲストを招き、富山県が目指すウェルビーイング向上のために必要なことについてのトークディスカッションがスタート。

加形拓也氏

株式会社電通コンサルティング プリンシパル/パーパス&デザインリード。
2016年から2019年まで、内閣府の派遣制度により富山県上市町の参与を務め、その縁からデジタルを活用したゲストハウス『松月』を立ち上げ、現在もその運営に携わる。

藤野英人氏

レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役会長兼社長。
富山県朝日町にある会社から「町のためになることを」と頼まれたのをきっかけに、一般社団法人を設立し、朝日町の地域創生に取り組む。現在は富山県成長戦略会議委員として、スタートアップ支援戦略ワーキンググループの座長として活躍。

ファシリテーターは富山県知事政策局長の三牧純一郎氏。2003年4月に経済産業省に入省し、2020年、富山県理事・商工労働部次長に就任。2021年4月からは現職を務めています。

※左から、三牧純一郎氏、加形拓也氏、藤野英人氏(写真下にお名前入れて下さい)

まずは三牧局長が富山県の成長戦略とこれまでの取り組みを紹介。その後、加形氏、藤野氏に向けて質問を投げかけます。

三牧局長 「デジタル活用による、地域課題の解決の可能性についてどう思いますか?」

加形氏 「『デジタルと地域』と聞くと、一見親和性がないように感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。現在、ある自動車会社の街づくりのプロジェクトに参加をしていますが、人手不足の問題はデジタルの力で解決できるのではないかと考えています。一方で『デジタルは都会の人が使うもの。難しいことはわからない』と拒否反応を示す方が地方には多いという現状もあります。そこをクリアできれば、もっと可能性が広がるのではと感じています。」

三牧局長 「藤野さんが朝日町で地域創生に取り組んだ際、そうした問題に直面したことはありますか?」

藤野氏 「博報堂とスズキ自動車の協力を得て『ノッカル』というUberのようなサービスを作りました。しかし、スマートフォンが使える人ばかりではないので電話でも申し込みができるようにするなど、工夫しました。このサービスが住民に浸透したのは、バスの廃止によって日々の移動が困難になるという『切実な需要』があったから。まずデジタルありきではなく、あくまでも『住民の困りごとにデジタルが寄り添う』という意識が大切だと考えます。」

加形氏 「僕が携わった上市町のゲストハウスも、『このままでは町に人がいなくなり、訪れる人もいなくなる』という住民の皆さんの切実な想いから始まりました。最初はデジタルと無縁だった人たちも少しずつ慣れていったというケースです。」

藤野氏 「大切なのは『小さく始める』ということ。仲間や応援してくれる人と一緒に小さい成功を重ね、周りを巻き込んでいくというのが良いやり方だと感じていています。加形さんのケースはまさしくそうですよね。」

外に向けて開き始めた富山。いまこそ、新しいことを始める“チャンス”

三牧局長 「スタートアップは、今回の『Digi-PoC TOYAMA』推進事業を盛り上げるために必要な存在ですが、藤野さんのご意見をお聞かせください」

藤野氏 「スタートアップが伸びていくためには、いかにして仲間を作るかが重要。難しいこともあるかもしれませんが、常におもしろがるというポジティブな姿勢が必要です。」

加形氏 「スタートアップでも大企業でも、その地域でしっかり試行錯誤を重ねて目的を共有できれば、おもしろいことができると思います。」

藤野氏 「今、富山県は少し門が開いたような、まさに絶好のタイミングです。興味のある人にとっては大きなチャンスなので、この機を逃さず、ぜひ飛び込んでいただきたいです。」

両者の知見や経験を基に、実証実験参加へのヒントが詰まった内容の濃いディスカッションとなりました。

ディスカッション終了後は質疑応答へ。来場者、オンライン配信の視聴者からは多くの質問、コメントが寄せられました。会場の参加者からの質問を一部紹介します。

Q. 家にいながら地域の魅力を感じられるキットを販売しています。関係人口を増やしたいとのことでしたが、みなさんが思う富山県の魅力とはどういうものでしょう。

A. 藤野氏 「おいしい食べもの、美しい自然はもちろんですが、富山県の魅力はやはり人。一見保守的に見えますが、元々あったチャレンジ精神の種が芽吹こうとしています。」

加形氏 「僕の経験ですが、合理的に考える人が多く、理由をきちんと説明するとしっかり話を聞いてくれる。だから県外の人ともうまくいくと感じています。」

三牧局長 「現在、富山の各市町村でそれぞれ新しい取り組みが増えています。未だ残っている日本らしさを活かして新しいことを始めやすい環境にあるのはないでしょうか。」

【募集テーマごとに、県の担当者と参加者が交流・意見交換】

三牧局長からの閉会の挨拶では、10月末に開催される富山県成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」の紹介とともに、「もし、今回の実証実験テーマには当てはまらなくても、富山県の課題解決に役立ちそうな企画があるという方がいましたら、遠慮なくご連絡ください」と、さらなるの呼びかけがありました。

そしてイベント終了後には、それぞれの募集テーマを担当する富山県の職員と交流・意見交換の場が設けられました。

テーマの担当者を囲むように、富山県が抱いている課題について真剣に意見を交わす参加者のみなさん。

「県民向けアプリの連携」の担当者は、参加者とオンラインでコミュニケーション。

「様々な取り組みがバラバラに行われている、ことの他にも、課題に感じていることはありますか?」との質問に、「連携とともに、アプリ登録者を増やしたいと考えているので、ご提案いただければ」との回答。終了時間いっぱいまで、活気ある交流が行われていました。

Digi-PoC TOYAMA の実証実験プロジェクトに参加することで、富山県の各自治体をはじめ、大学など様々なステークホルダーとの連携に対し、サポートが得られるのは大きなチャンスです。富山県のDX化推進に貢献したい、地域の課題をビジネスチャンスにしたい、富山へのビジネス進出や拠点づくりのヒントが知りたいなど、自由な発想を持った意欲的なDX事業者の皆さんの応募をお待ちしています。

アーカイブ動画公開中